牛蒡

未分類 2016-02-10

SDIM5365

牛蒡栽培は耕土が浅い場所では向いておらず、ここでは掘っていてもすぐに硬い層が出て来てしまう。
ツルハシで地面を砕くように掘るのは骨が折れる仕事だ。

生産性が悪い作物は適地適作とは違った考えとして、「食べる」と言うことに視点を置く。
自分が食べたいものは出来るだけ自分で作るという「自給する」と言う考え。その延長線上にセット定期便という販売方法がある。

冬の凍えるような寒い日、額に汗を掻きながら、ひたすら掘り続ける。
寒さで葉は全て枯れ、手で土を触り、牛蒡がある場所を当て、その横を掘っていく。

作っているのは大浦太牛蒡という太くて短く、厳つい形をしている。分かれた足は折って分ける。
柔らかく、どこか土の香りがするその牛蒡はやはり、「食べたい」と思ってしまうから作らずにはいられない。

筑前煮に太く入れるのも良いし、牛蒡チップスやスープも美味しい。牛蒡のから揚げもなかなか美味しい。肉との相性も良い。
冷蔵庫に入れていると1ヵ月以上もつから重宝する。

お客さんはどう食べているのだろう?とふと思いを馳せ、ここの土と出来た野菜、送った先の暮らしが繋がっているという実感がこの時代には稀であったとしても、これからは当たり前になって欲しいと願いたい。
必要とされなければ広がらないし、スーパーに行けば何でも揃っていると言う便利さ、有機野菜もそういう便利さに取り込まれてしまえば、土と繋がる暮らしとはかけ離れた世界がこれからは広がっていくかもしれない。
私たち作り手も食べ手も何を求めるかでこれからの世界は作られていく。

不効率な牛蒡栽培。利益追求や利便さだけでは作れない牛蒡はこれからも作り続けられるだろうか。

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