野菜セットを春の端境期を除いて決まったお客さんへ決まった品目、量を作り続ける。そんな農業を続けてきた。
農業と言っても畑レベルの超小規模。たった1haの農地を工夫しながら少量多品目を作付し、年間通して野菜がある状態を作る。一昔前なら1haと言えばそれなりの広さなのだろうが、今でいえば一家族が耕す小さな農園という感じではないだろうか。
そんな小さな農園でまつなが畑は決まった食べ手に向けて野菜を作る。誰が作ったのか分からない食べ物を選ぶのではなく、どこで、どのように、誰が、がはっきりと分かり、食べることで畑の状況を知れる。この社会では少数の人たちがそれを選ぶ。
余った野菜は直売所で売るが、自分たちの範囲を超えて外側での販売はちゃんとしたことをするには必要なことのようだ。ただの金儲けではなく、売るという手段を使って何かを食べ手に伝える努力をする。そうすると金儲け以上の目的が生まれ、外と内のバランスを取ることによってそこまでの道筋が出来ていく。
人は何の為に種を播き、何のために売り、何のために料理するのか。
日常のごくごく普通の労働の中に本当があれば、何かに迷うこともないのではないだろうか。
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